泥深いレースで担ぎのポジションで自転車を渡すピットワークは、美しい。

http://www.cyclingnews.com/races/fidea-jaarmarktcross-niel-2012/elite-men/photos/243754

ピットスタッフは、ただ自転車を渡すだけでは無い。この場合、自転車を適切な高さで持ち上げて渡し、選手と同じスピードで渡し、最適なペダル位置で渡し、乗り出す地点でのギア比に合わせて渡す。そして次の周回までに綺麗にした自転車を確実に用意する。スタッフも一緒になってレースを行うのがサイクルクロス。

ワールドカップや世界選手権以外では、UCIレースでもピット内の位置が決められている事は少ない。強い選手は良い場所で交換ができ、弱い選手は悪い場所でしか交換ができない暗黙のルールがある。レースには平等なんて無く、強い者がよりよい環境を得る事が出来る。毎回トップレースでは参加選手も同じなら、ピットスタッフも同じ。本物のレースに参加するならば、スタッフ同士で言葉を交わし、融通を付けて貰う必要も出てくるだろうし、スタッフのコミュニティに入る事が必要。これを確実に実践できるスタッフは本当に価値がある。優秀なスタッフがいなければ、レースが成り立たないのがサイクルクロス。これだけの事をこなすからこそ、スタッフの地位やモチベーションも高い。

競技としてのサイクルクロスは敷居が高いが、誰もが出来ないからこそ、魅せるものがある。